●アイスフィールド・センター
車をとばして、コロンビア大氷原に急ぐ。そろそろかな?という時、正面の山の上に厚い氷河が見えた。これはコロンビア大氷原の一部。この先、ハイウェイがカーブして、右手に山を見ながらぐるっと廻っていくと、コロンビア大氷原の観光ポイントに着く。
まだ日が高いので、どうも“昼下がり”くらいの感覚しかないが、実はもう5時になろうとしている。車を止めて、急いでアイスフィールド・センターに駆けこんだ。スノーコーチ・ツアーの予約をしなければならない。
このアイスフィールド・センターは、コロンビア大氷原の正面に建つ建物で、日本風に言うならレストハウス。かつては木造の赤い屋根で、アイスフィールド・シャレーと呼ばれる、いかにも山小屋という風情の建物だった。それが、96年に全面的に立て替えられ、3階建ての近代的な建物になってしまった。外観の造りは前の雰囲気を残してはいるが、色は灰色がかった淡いグリーンになり、1階部分は石煉瓦風になっている。周囲の景色との調和を考えたカラーだと思うが、私はどうも前のシャレーのほうが好きだった。両親と来た時、ツアーの出発時間を待ちながら、ちょっとレトロな感じのロビーで、これまたアンティークな雰囲気の椅子に座って、おしゃべりしていたことを思い出す。
ところがこのセンター、実は大変なスグレモノだったのだ。
内部には、スノーコーチ・ツアーの申込所、土産物ショップ、レストラン、氷河博物館があり、宿泊できる部屋も32室備えている。特にスノーコーチの申し込みカウンターは広々すっきり、以前の混雑が緩和され、たいへん利用しやすくなった。それにロビーにはモニターがついており、常時、次のスノーコーチ・ツアーのスケジュールが表示されている。もちろん、全面的にバリアフリー構造になっている。
スグレているのは、この建物全体のウォーター・システムだ。建物内の水をリサイクルできる装置が備えられており、可能な限り最大限に水を再利用している。つまり、新しく使う水の量を最小限に押さえているのだ。
コロンビア大氷原のように高地にある地域は、一見荒々しく頑強に見えるが、実はその生態系はたいへん壊れやすい。カナダ公園管理局とブリュースター(カナディアン・ロッキーの観光ツアー会社)が共同して建てたこのセンターは、ロッキーとコロンビア大氷原周辺の自然をなるべく壊さないように、配慮されている建物なのだ。
私たちは、最終(5時)のスノーコーチ・ツアーに間に合った。大人1人C$32(税込み)である。
さあ、いよいよ、氷河の上に行くぞっ!