●サスカトゥーンからレジャイナへの強行軍
サスカトゥーンを出たのは夜の9時。これから約300km離れたレジャイナへ行こうとしているのだから、今考えても、何とも無謀な計画だった。でも、モーテルだったら夜遅くてもチェックインできるし、まだ明るいし、なんとかなるんじゃないかと楽観。とにかく南に向かって突っ走った。
実はまだ夕ご飯も食べていなかった。思えば、今朝はまだエドモントンにいたのだ。今日1日だけで、ものすごい距離を移動することになる。
10時近くになっても、西の空はまだかすかに明るい。が、さすがに“とっぷり”という感じで暮れてきた。
もう遅くなってきたし、途中によさそうなモーテルがあったらそこに泊まろうということになったのだが、ハイウェイ沿いに町がないのだ。行けども行けども道ばかり…。
地図で大きそうな町を探し、そこだったらモーテル1軒くらいあるに違いないとわざわざ迂回し、ほっとする思いで行ってみたら、町どころか小さな集落みたいな感じで、もう家々の明りは消えて、町全体が暗〜くなっている。もちろん、モーテルなんかない。なんだかゴーストタウンみたいで、早々に引き上げた。
これでは単に時間の無駄になるだけなので、もう途中で探そうなんて浮気心は起こさないで、まっすぐレジャイナを目指すことにした。
気になるのは、シュテファンの疲れ具合いだ。朝から運転しっぱなし。かといって、私はこんなに大型トラックがビュンビュン走っている夜のハイウェイを運転する度胸がない。役に立たないサブ・ドライバーである。そのうえ雨まで降り出した。
「大丈夫?」と何度か尋ね、彼が眠くならないようにと話しかけたりしていたのだが、いつの間にか自分がグースカ寝てしまった。我ながら、なんて奴だ!と思うけど…。
目がさめたのは、レジャイナの街の灯がすぐそこに見えてきたあたりだった。
おおっ、さすが州都! ネオンぎらぎらの大都会じゃないか!(この時は、平原の中の道をずーっと走ってきた後だったので、そう思えた)
市内に入ると、ハイウェイの両側にファーストフード店やガソリンスタンドがズラーッと並んでいる。この明るさ、何だかなつかしい。まだ人もいっぱい出歩いているし…。
しばらく進むとモーテルもいくつか見えてきた。
手頃なモーテルにやっとチェックインしたときは、既に深夜12時をまわっていた。私はもう何も食べる気にならなかったが、シュテファンは空腹でがまんできないといって、バーガーキングで夜食(本当は夕食)を買ってきてパクついている。いやはや、今日1日、本当にご苦労様でした。
ずーっと後になって聞いたことだが、この旅行中で最も恐かったのは、この雨の夜の運転だったんだって。ワタクシ、たいへん反省いたしました・・・。