●ワスカナ・センター
CBCのテレビ撮影を見ていたため、思いがけず時間を費やしてしまった。少し急がなければ‥‥
まずダウンタウンの南側にあるワスカナ・センターに向かう。
ワスカナ・センターは930ヘクタールもある広大な公園だ。かつてはワスカナ・クリークという小川が流れているだけの場所だったが、ダムを築いてワスカナ湖を造り、次に諸施設を建設していった。ワスカナ湖を囲んで、州議事堂、レジャイナ大学、自然史博物館、美術館、スポーツ施設などが点在し、レジャイナの政治・文化・教育・科学・芸術の中心であるとともに市民の憩いの場にもなっている。
とにかく広過ぎて、どこに車を停めていいものやらも分からない。見たいところはただ一つ、州議事堂で、時間がないため、あとの施設は車中から見るだけでいいことにした。
ナビゲーターの私は先ほどからワスカナ・センターの地図と挌闘しているのだが、道路の名前を追っていても、突然、地図に出ていない道路名が出てきたりして、とうとうフォローできなくなってしまった。
「どうしよう‥‥ どこにいるのか分からなくなっちゃった‥‥」
(頭の中では、これでまたかなり時間を取られてしまうのでは‥‥と心配している)
シュテファンはそんな心配をよそに、「どこかの駐車場に停まればいいでしょう」とか言いながら、適当に湖のほうに曲がり、その辺にあったPマークをたどって、小さい駐車場に車を入れた。はっきり言って、今、自分がワスカナ・センターのどの辺にいるのか、まったく分からなかった。
車から降り、駐車場のまわりの木立を抜けて、湖畔方面に出てみたら、びっくり!!
なんと、湖をはさんで真正面に州議事堂が建っているではないか!? まさしく私が来たかった場所がここなのだ。どうして分かったんだろう?
1912年に完成した州議事堂は、英国ルネッサンス様式の荘厳な建物で、ビクトリアにあるBC州の議事堂に似ており、なんだか懐かしく感じられた。
対岸から見ると、議事堂を囲むように森が広がり、手前に湖があって、この時は見られなかったが、水面に鏡のように建物と森が映ったら、さぞや美しいだろうと思われた。
ところで、不思議な響きをもつこの「ワスカナwascana」という名称だが、先住民のCree族の言葉で「大量の骨」を意味する。この地でバッファローの狩猟をして生活していた先住民は、バッファローの骨の山を作って、次なる獲物の到来を願ったという。
現在の、このオアシスのような風景を見ていると信じられないが、かつてこの辺りは木が1本もはえていない原野だったそうだ。1906年、ここに州議事堂を建設すると決まった時に、大規模な同センターの建設構想もまとまり、植樹が始まったというから、歴史はまだ浅い。
今回は本当に駆け足だったが、またいつかゆっくりワスカナ・センターを訪れ
たいと思っている。