●筆者、RCMP(カナダ王室騎馬警察)に囲まれる!?
エドモントンからレジャイナまで1日で移動というとんでもない強行軍をやらかした翌朝、昨夜の雨はあがり、さわやかな1日の始まりとなった。
今日もまた隣の州のウィニペグまで行かなければならない。でないと、明日発のVIAに乗れなくなるのだこの便を逃がすと、ウィニペグで2日足止めを食ってしまうことになる。
昨日の反省から、今日はなるべく早くレジャイナを出ようと話し合っていたのだがなかなか思うようには行かないんだなあ、これが‥‥。
レジャイナで行きたいところはもう決まっていた。ワスカナ・センターとRCMP博物館だ。
ワスカナ・センターはダウンタウンの南にある広大な公園で、人工のワスカナ湖を囲むように、州議事堂、レジャイナ大学、自然史博物館、美術館、スポーツ施設などが点在している。以前、留学関係のガイドブックを書く時に、レジャイナ大学を紹介するため、いろいろ資料を調べていて、このワスカナ・センターのことを知った。そして、緑豊かな美しい公園の写真を見て、ぜひ訪れてみたいと思っていたのだ。
もちろん、サスカチュワン州議事堂を見ることも、目的の一つ。私たちは今回の旅で、全州の州都を訪れることを密かな目標としていたから。
RCMP(The Royal Canadian Mounted Police)については、ESLの最初の頃に覚えた略語であることと、その成り立ちの歴史がたいへん興味深かったので、以前から関心があった。
カナダを旅行したことがある人なら、お土産屋で赤いジャケットに茶色い帽子、黒の乗馬ズボン風の制服を着た人形やイラストを見かけたことがあると思うが、これが名高いカナダ王室騎馬警察である。レジャイナは、その前身である北西騎馬警察の発祥の地なのだ。で、その博物館にも、ぜひとも行ってみたいと思っていたのである。
とりあえず腹ごしらえ…ということで、朝食が食べられるお店を探しに、まずダウンタウン中心部の、ショッピング・センターやデパートが集まるマーケット・スクエアという一画に行ってみた。
ショッピング・センター内をざっと見て、広場のような所に出てくると、そこになんと例の赤い制服を着たRCMPの人たちが、20〜30人もいるではないか!
どうやら何かイベントがあるらしい。観光地では、時々、本当に馬に乗ったRCMPの警察官を見かけることがあるが、たいてい1人か2人で、これだけの集団を街角で見られるのは非常に珍しい。
そういえば、他にもイベントの参加者と思われる人たちが、その辺りにたむろしている。
それにしても、あの赤い制服がこれだけ集まっていると、実に壮観である。
私は、悪いかなぁと思いつつも、カメラを向けてしまった。
すると、上官らしき人が、私が写真を撮っているのに気づき、みんなに何か言っている。みなさん、まだ待ち時間らしく、リラックスしておしゃべりしていたので、私はその上官が「写真を撮られているから、きちんとするように!」とか何とか言っているのかと思ったら‥‥
なんとその赤い集団が、一斉に私のほうへ近づいてきた。そして、一緒に写真を撮ってくれるというのだ。上官は、そのことをみんなに指示していたのである。もうビーーーックリーーーッッッ!!
いやあ、緊張した。震える手でシュテファンにカメラを預け、12〜13人のRCMPの人たちに囲まれて、恐縮し、少々テレながらも一緒に写してもらった。
恐縮している割には、2枚も撮ってもらってしまった。だって、こんなこと、この先の人生に2度とないかもしれないのだ。1枚しか撮らずに、それが失敗してたら嫌だもの‥‥。
写真を撮った後、「どこから来たの?」とか「モントリオールはいい所だから、絶対に行ってね」(この人はモントリオール出身らしい)とか、いろいろ話しかけられて、ドキドキしてしまった。
あの制服は、近くで見ても本当にカッコいい。女性もけっこういるので驚いた。
聞いてみたら、この後10時から、CBC(カナダのメインTV局)の生放送で国歌を歌うのだそうだ。
よーし、せっかくだから、その生中継も見ていこう!ということになり(このように予定はどんどん狂っていく)、10時にまたそこに戻ることにして、朝食をとりに近くのカフェに入った。
RCMP発祥の地でこのような機会にめぐり合えるなんて‥‥と、なんだか幸せな気分だった。