●バンフでのアクティビティ
B&Bの宿泊客から情報を得て、私たちが野性動物を見に行ったのは、バーミリオン・レイクに行く道路と、1Aという昔のハイウェイだった。熊だけはついに見られなかったが(B&Bのゲストは見たと言ってたけど)、エルクとオオカミを見た。いや、コヨーテかな? 今だにどちらだか分からない。が、それが出てきた時は、私たちは大いに興奮した。ワイルドな犬みたいな感じのそいつは、私たちの車の横の斜面をトコトコと斜めに上っていた。一度、立ち止まって悠然と遠くを眺め、斜面の向こうに去っていってしまった。なんか、かっこよかったな。
バンフでは乗馬とフローティング・ツアーに参加した。
乗馬ができるのは2カ所あるが、私たちはバンフ・スプリングス・ホテル近くの馬場の方を選んだ。このコースは川を渡るので面白いと聞いたからだ。
実は私、バンフでの乗馬は3度目。1回目はボウ川沿いのMartin Stablesという牧場に行き、1時間のコースをとった。2回目は取材で、今回と同じくホテル近くの馬場からだったが、1日の最後のツアーだったために、違うコースをとり、最後はMartin Stablesに着いた。どうやら馬はここで寝るらしい(その後、ホテルまでまた車で送ってくれる)。
今回は昼間のツアーで、ツアー客は私たちだけだった。ボウ川を渡るのがハイライトなのだが、川は思ったより深く、馬の足はほぼ隠れてしまうくらい。つまり、私の足は今にも水につきそうになっている。しかも、川底の石ころで足場が悪いらしく、馬が歩く時に、カクンカクンやっている。こんなところでコケられたら、私はズブ濡れになってしまう。
この馬大丈夫なのぉ?コケないのぉ?と、ほとんど叫ぶように聞くと、ツアーリーダーのおっさんが振り向いて、今まで一度も転んだことはないよ、慣れてるんだから、と言った。慣れてると言ってもなあ、今日は水の流れが早いとか、そういう日もあるでしょう‥‥?
ヒヤヒヤしながら何とか渡り終えたけど、ホントこわかったなあ。でも、無事すんでみれば、ここがいちばん面白いポイントだったかも…。あと、前回のコースでは、丘の上から視界がパアーッと広がる地点があり、そこもよかった。
乗馬は1時間のコースで充分楽しめる。…というより、1時間で充分って感じかな。翌日、けっこう筋肉痛がしたりするのだ。半日コースとか、キャンプをしながら3日間とか、憧れるけど、私にはtoo muchかも。
ロッキーでのおすすめアクティビティの1つがラフティングなのだが、今回は時間がないので、1時間のフローティング・ツアーに参加した。
この2つの違いは、ラフティングは自分たちでパドルを持ってこぎ、かなり流れの激しいところにも行く(家族向けに、ゆるやかなコースもある)。フローティング・ツアーは、大きなゴムボートに乗って、ガイドがこぐ。アドベンチャー度は、文句なくラフティングのほうが高い。が、最低3時間は必要になる。今回は、どうしてもそれだけの時間がとれなかったので、フローティング・ツアーのほうにしたのだ。
ゴムボートといっても20人くらい乗れる大型のもので、参加者は小さい子供がいる家族連れや老夫婦が多い。
ガイドは、ベテランそうなおじさんと若者1人。実はこの若者、この夏のハイシーズンに向けて訓練中の新人クンで、ツアー中ずっとおじさんから厳しい指導を受けていた。マリーン・レイクの遊覧船の女性キャプテンもそうだったけど、この時期のロッキーはこんなシーンによくお目にかかる。
フローティング・ツアーでもラフティングでも、一度トライしてみることを、ぜひおススメする。普段見ることのない景色が見られるからだ。川の側から見る岸辺の自然、しかもほぼ川の水面の高さから見ることになるので、魚や水鳥も見えるし、そそりたつ崖にいる小動物なども見られる。これは新鮮な体験だった。それに、ボートが動いていく速度がいい。水の流れとともに、時には早く、時にはゆるやかに…。旅先だからこそ味わってほしい、自然と一体化したリズムだ。このツアーでは、バンフ・スプリングス・ホテルやフードゥーも見られる。ラフティングより興奮度は少ないが、意外によかったフローティング・ツアーだった。
さあ、これで、ロッキーの観光は終わり。今日のうちにカルガリーに行かなければならない。今日は友人の家に泊めてもらうことになっているのだ。あまり遅くなるわけにはいかない。
カナディアン・ロッキーでは、いろいろな体験をしたなあ…。これから先は大平原が広がるのみ。ちょっぴり寂しい気持ちで、私たちはロッキーを後にし、一路カルガリーに向かった。