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バリアフリー都市・バンクーバー
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●テリー・フォックス・ラン

01/09/04
●モルソン・インディ・カーレースの車椅子シート

01/08/28
●第21回「テリー・フォックス・ラン」---日本にも開催地あり!

01/08/21
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●バリアフリー・シティへの道

00/10/24
●Accessible

00/10/17
●きっかけ(続き)

00/10/10
●きっかけ

00/10/03
●バリアフリー・シティとの出会い





●きっかけ(続き)

アルバイト先の女性の一言からヒントを得て、私は障害者留学ガイドの話を何とか具体化してみたいと思い始めていた。

彼女にもっと詳しい話を聞かせてもらった。
今や車椅子での海外旅行は、昔ほど難しいことではなくなってきたという。そういった特別ツアーを催行している旅行会社も出てきたし、介助者が必要ない障害者の場合は、健常者と同じツアーにも参加できるという。

事実、彼女は何度か普通のパッケージツアーで海外旅行をしているのだった。
まず旅行情報誌やパンフレットで、可能性がありそうなツアーをピックアップする。そして旅行会社へ電話をして、参加したい旨と車椅子であることを告げる。最初の答えはほとんど「それはちょっと‥‥」というようなものだそうだ。
しかし、障害の状況と今までツアーで海外に行った経験があることを話すと、多くの場合、前向きに検討してくれるようになったという。過去に一度利用したことがある会社なら、まずOKだそうだ。

さらに、乙武洋匡くんの『五体不満足』や長野パラリンピック、そして今日開幕のシドニー・パラリンピックなどで、人々の関心が高まってきた。そうした社会の動向もあって、障害者が海外旅行をすることは、かつてほど困難なことではなくなりつつあった。

ところが、留学に関してはまだまだ情報不足、対応不足であるという。
海外旅行に何度か行くと、次は少し長期で滞在してみたいとか、ホームステイをしてみたい、現地で英語を勉強したいという希望を持つようになる。彼女の周りでも、そのような人は決して少なくないそうだ。ただ、情報がきわめて少なく、学校および現地の車椅子での生活の様子などを知る手だてがほとんどないのだと語ってくれた。

私はますます「やらなければ…!」という思いにかられた。

バンクーバーに戻ると、さっそく下取材を始めた。
出版社に企画として提案するためには、それなりの説得材料が必要である。情報を求めている読者がいることは分かったが、果たしてバンクーバーにそれだけの受け皿が実際にあるのか…。私は学校面、ホームステイなどの滞在手段、生活面と分けて考え始めた。

そうやってアンテナを張りつつ、周囲の人たちにこの企画案について話していると、ある日、留学アレンジメントの仕事をしている知人から、思いがけぬ朗報が届いた。私立のESL(英語学校)で、障害者を受け入れている学校があるという。
私は小躍りして喜んだ。
州立の大学やカレッジでは、UBCのプールの例(第1回のストーリー)があるように、比較的受け入れ体制は整っていると見ていたが、障害者の方たちが体験してみたいのは、むしろESLのように短期でも可能な留学ではないかと思っていたからだ。両方の情報が載せられればベストであるが、こんなに早くそういったESLが見つかるとは思わなかった。

しかも、担当者に連絡してみたら、既に受け入れた実績があるとのこと。さらに、その時の留学生はホームステイをしており、必要ならばそのホストファミリーをご紹介いただけるとのことだった。
さっそくそのESLを訪問し、詳細を取材した。一つ突破口が開くと、その先が次々に開けていくような感じだった。

生活面では、さらに多くの発見があった。
その頃の私は、外出する時はいつも車椅子マークに目を配るようにした。すると、あるわあるわ。交通機関、公共施設、建物の入口、トイレ、駐車場・・・。
1つのことに着目して歩いてみると、その街のまったく違う表情が見えてくるのはよくあることだが、その頃のバンクーバーはまさにそうだった。私には今までと全然違う街に見えていた。

こうして下取材したデータと、最初のきっかけとなった彼女の話をまとめ、企画書を書いて編集部に送った。結果は、下のカコミ記事の通りである。
しかし、取材で得たさまざまな情報は、とても4ページの記事に書ききれるものではなかった。また、留学に直接関係ないことは、省かざるを得なかった。

次週からは、これらの情報の一つ一つをご紹介していきたいと思う。