●リック・ハンセン(3)
リック・ハンセンの意識を大きく変えさせたもの‥‥、それはテリー・フォックスの「マラソン・オブ・ホープ」だった。
1980年4月に「マラソン・オブ・ホープ」がスタートした時、彼はテリーと同じ22歳だった。毎日のように報道される彼のひたむきな姿。自分にできる「走る」という素朴な行為だけで、こんなにもカナダ中の人々の心に熱いメッセージを送り続けているテリー。ついに中断せざるを得なかったあの日。そして、テリーの死‥‥
同い年のリックが触発されたのは明らかだった。
「もし僕がテリーのテーマを引き継ぐことができるとしたら‥‥? あらゆる場所にいる障害者のために、僕がメッセンジャーとなり働きかけることができたら、それは車椅子での世界一周の大きな目標となるのではないだろうか!?」
「後から思いついたことではあったが、たぶん自分は、脊髄損傷で障害を負った人たちのために、研究、リハビリテーション、車椅子スポーツ、レクリエーション・プログラムのための寄付を集めることができるのではないかと思った。まさにその時、世界一周ツアーは、自分が“できる”何かではなく、自分が“するべき”何かに変わったんだ。僕は、登るべき山を見つけたんだよ」
そして彼は、脊髄損傷研究基金を募るという大きな目標が付加された従来の夢の実現に向かって、動き出した。
協力者や支援者がたくさん現われた。BC車椅子スポーツ協会会長、BC対麻痺協会会長、リックのバスケットボールのコーチ、彼がケガをしたとき車に同乗していた友人らなどである。
これら多くの人々のサポートを受けて、リックは「Man in Motion」というツアーを計画し始めた。目標距離は40163.79km。それは地球の円周と同じ長さという壮大なものだった。
1985年、リックはこの大きな夢に向かってスタートした。
参考文献:「The Greater Vancouver book」
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