●スポーツ観戦
バンクーバーでは、スポーツ施設もバリアフリー構造になっている。
バンクーバーを代表するスポーツ施設、General Motors Place(通称GMプレイス)を例にとって説明してみよう。
1995年にオープンしたGMプレイスは、設計段階から既にFull Accessible(完全バリアフリー)の建物となるべくデザインされていた。この点は、先週紹介したバンクーバー公立図書館と同じである。
現在、GMプレイスは、NHL(北米アイスホッケー・リーグ)のバンクーバー・カナックスと、NBA(全米バスケットボール協会)のバンクーバー・グリズリーズのホームリンク/ホームコートであり、ビッグ・アーティストのコンサートもよく行なわれている。
◯障害者専任スタッフ(Guest with Disabilities Staff)
GMプレイスには、障害者や特別な介助を必要とするゲストのための専任スタッフがいる。介助を頼む場合は、チケット購入時に依頼しておくとよい。
また障害者専任スタッフ直通のホットラインがあるので、そこで情報を得たり、直接介助を依頼することもできる。
The Guests with Disabilities Staff :(604) 899-7445
◯駐車場
GMプレイス周辺の駐車場には、障害者専用のスペースが設けられている。また、事前に連絡しておけば、GMプレイス地下の駐車場を使うこともできる。
◯入口とエレベーター
GMプレイスの入口は、すべてバリアフリーになっている。中でも、車椅子を使用しているゲストが入りやすい入口は、Gate1、Gate5、Gate9で、すぐ近くにエレベーターがある。また、視覚障害者には、必要に応じて特別なIDカードが用意され、これがあれば自分の座席にすぐ案内してもらうことができる。
◯ゲスト・サービス・センター
プラザ・レベル(1階)とバルコニー・レベルに、それぞれゲスト・サービス・センターが設けられており、すべてのゲストのニーズに対応している。障害者へのサービスとしては、緊急時の援助、上下する機能が付いた椅子の貸し出し、補聴器の貸し出し、車椅子の一時預かりなどがある。
上下機能付き椅子と補聴器の貸し出しは無料だが、デポジットとして、クレジットカード番号か写真入りIDカードを、センターに残していかなければならない。なお、補聴器の貸し出しは、アイスホッケーとバスケットボールのゲーム時のみとなっている。
◯トイレ
GMプレイスのすべてのトイレはバリアフリーになっている。さらにバリアフリーのファミリー・トイレも3カ所設置されている。
◯盲導犬
GMプレイスには盲導犬も一緒に入ることができる。ゲスト・サービス・センターには、盲導犬用のカーペットが用意されている。チケット購入時に頼めば、盲導犬がゆっくり座れるよう、通路側の席を取ってもらえる。
◯売店
GMプレイス内の売店は、カウンターが低く作られている。
また、プラザレベルにあるグッズショップAuthentix は、車椅子でも買い物ができるような造りになっている。さらに両レベルの通路には、グッズショップのスタンドが何カ所か設けられ、より利用しやすくなっている。
◯電話
GMプレイス内のすべての公衆電話は、車椅子でも使えるよう、低く設置されている。また、聴覚障害者も使える特別な電話器が、2カ所に備えられている。
◯座席
車椅子専用シートは、バルコニー・レベルのコーナー2カ所の最前列に設けられている。シートと言っても普通の座席があるのではなく、車椅子のまま観戦できるように、広いスペースが確保されているのだ。入口はカーテンで仕切られ、車椅子でそのまま入っていける。同行者には椅子が用意され、一緒に観戦することができる。
私はよくアイスホッケーの観戦に行くのだが、席はちょうどこの車椅子専用シートが見られる位置にある。いつも多くの人がそこで観戦しており、レギュラーシーズンもあと1カ月となった今、観戦熱も高まってきて、毎回、この車椅子専用シートも満員になっている。
アイスホッケーの場合、車椅子専用シートのチケット料金はC$47.75となっている(通常はC$47.75〜56.50)。
それにしても、GMプレイスに、建物のバリアフリー化だけでなく、障害者のためのサービスがこんなに整えられているとは知らなかった。今回調べてみて、改めて驚いている。
|