●音楽を奏でる交差点
日本ではもうおなじみだが、視覚障害者のために、歩行者が渡れる状態になると、音楽で青信号を知らせる交差点が、バンクーバーにも作られている。
資料によると、市内で69箇所の交差点に、この装置が備えられているそうだ。この資料は3年前のものなので、現在はもう少し増えているだろう。歩道のタイルにデコボコを加えるなどして、歩道が終わることを知らせるシステムも同時に導入されている。
ただ、この視覚障害者のための音楽信号システムは、日本のほうが設置されている率は多いような気がする。日本では、歴史的に、視覚障害者がマッサージ師などの職業をもち、外に出ていく割合が多いからだろうと思うのだが…。
誤解を招くといけないので、これはバンクーバーの視覚障害者が出歩かないという意味ではないことは付け加えておきたい。以前、「カナックス・ファン」でもお伝えしたが、こちらではブラインド・ホッケー・チームなどもあり、みなさんアクティブである。
街では、バス停で「今、近づいてくるバスは何番ですか?」と聞かれることがあり、振り向くと、白い杖を持っている人だったということが時々ある。たいていは私より先に側にいる誰かが答えているのだが、バスが来ると、彼らはほとんど誰の手も借りずに自分で乗り込んでいく。そして、運転手に行き先を告げて、席に座る。助けが必要な最低限のことだけ頼み、あとは自力でやっていくのだ。周りの人も、様子を見ていて大丈夫と判断したら、それ以上手は出さない。
知らない人にも結構気さくに話しかける国民性なので、こうやってどんどん外に出ていくことも可能なのだろう。
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