●テリー・フォックス(3)
骨の癌と言われる骨肉腫のために、右足を失ったテリー・フォックスだったが、元来スポーツマンだった彼は、退院後、車椅子のバスケット・ボールに挑戦。
それだけでは終わらなかった・・・。
治療中にテリーが考えていたことは、癌患者のために、なにか彼らを励ますことができないか、ということだった。さらには、癌研究のために、チャリティーによる募金を募ることも考えた。
そして計画をたてたのが、カナダをマラソンで横断することだった。カナダ全州を彼が義足で走ることにより、癌に対する人々の意識を高められ、何より彼自身が直接人々に訴えることができるからだ。
カナダ横断への挑戦は、癌への挑戦でもあり、彼の人生への挑戦だった。
テリーはこの挑戦を「マラソン・オブ・ホープ」と名付けた。
テリーが考えたルートは、東から西への横断だった。カナダ最東のニュー・ファンドランド州をスタートし、フェリーでノバ・スコシア州に渡り、途中プリンス・エドワード島にも立ち寄って、ニュー・ブランズウィック州へ。その後、ケベック州からひたすら西へ。オンタリオ州、マニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州を通って、最後に故郷であるブリティッシュ・コロンビア州に帰って来て、ゴールのテープを切るというプランだった。
プランニングとトレーニングに2年以上を費やし、その間にスポンサーも現われた。そして、いよいよ出発の日が来た。
1980年4月12日。ニュー・ファンドランド州の東端セント・ジョンズで、テリーは義足を大西洋の水に浸した。
そして西を向き、「マラソン・オブ・ホープ」をスタートさせたのだ。
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