●バンクーバー・サン・ラン(Vancouver Sun Run)
22日(日)に開催された第17回バンクーバー・サン・ランには、車椅子の部もある。ランナーと全く同じコースで、15分早く、8時45分にスターする。私はこのスタートの様子を見に行った。
レースのスタート地点であるジョージア・ストリートは、人でいっぱいで通れないので(何しろ参加者45,000人だ)、1本横の道を使って、スタートラインが見える所まで2ブロックほど歩いた。道路の両サイドには簡易フェンスが立てられ、中には入れなかったが、歩道の植え込み用のコンクリートの上に立ったらよく見えた。
スタッフがマイクで「スタート5分前」を告げている。最後のウォーミング・アップに余念がない人、友人に車椅子を再チェックしてもらっている人など、いろいろだ。
スタート1分前。全員がスタートラインに並んだ。参加者は約15名。うち3分の1は女性だ。
その後ろには、15分後にスタートする、参加者の中でもトップクラスのランナーたち。みんな真剣だ。うしろ〜の方でお祭りイベントっぽく盛り上がっている人たち(もちろん私も入る)とは、全然表情が違う。周囲の空気も違う。
スタート10秒前。緊張が走る一瞬。
スタート!!
一斉に10数台の車椅子が、誰もいないジョージア・ストリートに飛び出していった。そして、あっという間に小さくなってしまった。
パラリンピックなどはテレビで見ていたが、実際に車椅子のレースを目の前で見るのは初めてだった。その緊張感と圧倒されるような力強さ。すごいなぁとただただ感心してしまった。
車椅子の部の男性優勝者のタイムは23分27秒、女性は37分32秒。
ちなみに、ランナーの優勝タイムは、男性28分07秒、女性33分04秒(いずれもケニアから参加)だった。
優勝者Kelly Smith氏は「バンクーバー・サン・ランは地元のビッグ・レースで、参加するのが楽しみだが、将来的には世界レベルの車椅子レースにしてはどうか」と提案していた。たしかに、今回の参加者はバンクーバー市内および近郊からがほとんどだ。市内がこれだけバリアフリー化しているのだから、レース以外の環境は、もうすべて整っているようなもの。近い将来、実現するかもしれない。
Smith氏は、昨年はボストン・マラソンとシドニーのパラリンピック予選に向けて調整していたので、サン・ランには出場しなかった。今後は、アテネのパラリンピックを目指して練習していくそうだ。
このサン・ランには、彼らトップ車椅子ランナーだけでなく、多くの車椅子の人が参加している。誰かに押してもらったり、友人や家族と一緒に歩くという人は、ウォーカーの部に入ることになっている(ゼッケンによって、ランナー、ジョガー、ウォーカーが色分けされている)。こちらはホントにのんびりムード。ベビーカーを押している人もいるし、お年寄りの参加も多い。誰もが楽しめるバンクーバー・サン・ランは、今や世界で2番目に大きい10kmマラソ
ン・イベントになっている。
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