●ディスカッションのテーマ
日本で5カ月ほどしか英語教室にいったことがなかった私は、英語でディスカッションをした経験がほとんどなかった。
その英語教室では、イギリス人の先生のクラスで、テキストがあり、いわゆる学習形式で進めていた。テキストから取り上げるトピックスは、何かの場面設定があって、その中での英語だったり、関連したボキャブラリーの勉強だったりした。自分の意見を述べることは、あまりなかった。しゃべることは、質問やちょっとした受け答えくらいだった。
取り上げた話題の中で、覚えている社会的なテーマは、ゴミについての話だったが、それも環境問題にまで及ぶものではなく、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」の英語での言い方は?みたいな内容だった。
他の英語学校のカリキュラムを知らないので、もしかしたらシリアスなテーマでディスカッションをばんばんやる学校もあるのかも知れないが、私が行った教室はこんな感じだったので、バンクーバーのESLで取り上げる様々なテーマに、最初は驚いた。
臓器移植、ドラッグ問題、人種差別、犯罪、虐待、妊娠中絶、嬰児売買・・・
これらがESLのディスカッションで取り上げられたテーマである。私はUBCのESLで「Newspaper」というクラスを取っていたが、上記はそのクラス以外の、普通の会話クラスで話し合われたことだ。これを見ると、国際結婚(これも取り上げられたが)なんていうテーマは、霞んでしまう感すらある。
先生によって進め方は多少異なるが、多くの場合、まずテーマについて書かれた新聞記事あるいは雑誌の記事を全員で読むことから始まる。そして、一段落ずつ、難しい語句の意味を確認しながら、内容を理解していく。全員が記事の主旨を理解したところで、このテーマについて、それぞれの意見を求められる、あるいはグループに分かれて話し合う・・・という授業内容だった。ESLの生徒たちは世界中いろいろな国から来ているので、自国では同様の問題があるか、どのように取り扱われているか、などについても話した。
30代以上のみなさんは、日本でもこれらの問題についてのニュースを聞いたり記事を読んだりしたことが、おそらくあると思う。また、各々のテーマについて意見を求められたら、少なくとも一言二言は言えるだろう。そうでなきゃ困る。たとえば、それまでまったく知らなかった北米特有の社会問題などがテーマになったとしても、今までの自分の社会経験から、何がしかの意見は湧いてくるはずだ。
私も最初はとまどったが、いつまでも「各国の文化」や「◯◯での会話」みたいなことをやっているより、こちらの方が面白くなった。日頃、日本語でも滅多に話し合うことがないこれらのテーマについて、自分の意見を再確認でき、時には自分の無知さ・無関心さを反省もした。生徒それぞれのお国事情を聞けるのも興味深かった。
取り上げるテーマは、学校、クラス、レベル、先生によって違うので、どのESLでもこうだという訳ではないことはご了承いただきたい。
ただ、総じてレベルが上のクラスほど、社会問題などを取り上げる傾向ではあるようだ。
次回は、入学テストで上級クラスに入るコツ、お教えしよう。