●料理は身を助く(2)
食生活が乱れたために、とんでもない体型になってしまった人たちは、みんな(といっても私が知っている数人だけど)外国に住んだことがきっかけで太り始めている。滞在先はアメリカとハワイが多かったが、カナダで太った人もいた。そのうち3人は、日本人にはあまり見られない太り方だった。みんな体重が10〜20kg増えていた。
聞いてみると、ジャンクフードもそうだが、ケーキやアイスクリームを食べる機会が圧倒的に増えたらしいのだ。ホームステイをしていて、食事はちゃんと3食ついていても、外で小腹がすけば、こういったものは簡単に食べられる。しかもサイズがでかい。
カナダで8kg太った人は、マフィンがおいしくて、食事の代わりにそればかり食べてしまったそうだ。日本でマフィンと言えばイングリッシュ・マフィンのほうが思い浮かぶが、こちらのマフィンはカップケーキみたいな感じで、かなり甘い。それが、スターバックスなどのコーヒーショップでは、レジのすぐ横にあったりするもんだから、ついつい「これも!」ということになってしまうのだ。
さて、自慢じゃないがダイエットについては様々な本を読んでいる私。その中の一つの栄養理論が、恐ろしいほど心に刻まれている。それは、脂肪と砂糖を一緒にとると、脂肪細胞への吸収がたいへんよくなってしまうというものだった。いわく、パチンコのチューリップが開いた状態で、そこに脂肪という玉がどんどん入っていくようなものなのだそうだ。だから、バターと砂糖を使っているケーキやマフィン、アイスクリームは最悪なのである。脂肪類が使われていない和菓子のほうがダイエットにはいい、と言われる理由はこれなのだ。
もちろん、ケーキやアイスクリームを食べてもすぐ太るわけではないが、彼女たちは、アメリカン・サイズのそれらのデザートを、毎日のように、あるいは食事代わりに食べていたのである。おそらく、異文化の中で生活している目に見えないストレスから、甘いものを欲するようになっていたとも考えられる。
少しでも料理の経験があれば、自分でいろいろ工夫できる。甘い物が欲しくなったら、自分で糖分の少ないデザートをつくることもできるし、カルシウムをちゃんと取っていればイライラをおさえることができるので、必要以上に甘い物が欲しくなくなる。また、自分で料理すれば油の量を少なくすることもできる。
それから、自炊といっても、スーパーでインスタント食品や冷凍食品ばかり買っているのでは、ジャンクフードと同じだ。短期留学ならいいが、1年近くいる計画なら、基本的な栄養知識と料理法は、今から身につけておいたほうがいい。くれぐれもマフィンを食事代わりにするという愚行はしないようにね。