●真面目な人ほどあぶない
前号まで、留学生のメンタルヘルスと関連する体験談をお伝えしてきた。その中で、以前バンクーバーで行なわれた大規模なシンポジウムについて書いたが(第37回)、そのシンポジウムで非常に興味深いことを聞いた。
それは「真面目な人ほどあぶない」ということだった。
真面目な留学生は、自分に対しての目標値が高く、とかく自分を責めやすいのだそうだ。
彼らは勉強も真面目にしているので、日本では英語の成績がよく、TOEFLなどでも高いスコアをとっている。なのにカナダに来たら、よくしゃべる他国の留学生に圧倒され、思うように話せなかったり、自分の英語が通用しないというような現実に直面する。
自分が思い描いてきた留学生活(理想)と現実とのギャップに落ち込み、かといって下のクラスに行きたいとも言い出せず、だんだん学校に行きたくなくなる…というパターンに陥るケースが多いのだそうだ。だから、必ずしも英語ができる人が留学先で苦労していないというわけではないのである。
留学生活の「満足度」は目標と現実との距離によって決まる。英語は話せないけれど、現地の生活を楽しむことを目標とし、エンジョイして帰る人と、話せるけれど、もっと上を目指していたために、ギャップに悩み落ち込んで帰る人では、前者のほうが本人の満足度は高いのだ。
このような、真面目ゆえに落ち込んでしまう学生へのアドバイスは
(1)自分への要求数値を下げる
(2)現実評価を上げる
の2つだそうだ。
私(一応、真面目な人間のつもり)は、自分に「英語だけの生活」を厳しく要求し過ぎ、ストレス過剰になって体調にも影響してしまったので、その要求を少しゆるめて乗り越えたことは、前回お伝えした。このシンポジウムに出る以前のことだったが、奇しくもベストな対応策をとっていたのだ。
(2)も大切なポイントだ。「まだまだ」と思う気持ちを、時には「私もけっこう頑張っているじゃない。えらいえらい」というように、自分をほめてあげることも必要だと思う。特に留学中は、他にほめたりねぎらったりしてくれる人がいないのだから。
30代留学は、真面目にならざるを得ない要素が多い。
次の留学は考えにくいこと、故にこの留学で少しでも成果を上げたいと思うこと、自分で稼いだお金で来ているので無駄にしたくない・失敗はできないと思うこと、留学後の再就職を考えるとできるだけ英語力をアップしておきたいと思うこと‥‥などである。
だからこそ、私は30代留学をとっても応援したいのだが、心身ともにいい状態で留学生活がおくれるよう、心の健康の問題にもぜひ気をつけていってほしいと思う。
★‥‥‥‥‥‥‥‥‥★バンクーバーだより★‥‥‥‥‥‥‥‥‥★
★今、日本では『ブリジット・ジョーンズの日記』がロードショーになっていると思いますが、この映画、おすすめです。あのおかしさと悲しさとせつなさは、30代・独身を体験した女性でないと、本当には分からないかもしれない。
私は、笑い、泣き、怒り、また笑い‥‥。1人で見に行って、家でも思い出し笑いをしていたら、シュテファンも見たがったので、結局2回見てしまいました。
この映画のために、主演のレニー・ゼルウィガーは体重を20ポンド(約9キロ!)も増やしたそうです。いくら役作りといっても、女優ですから、躊躇もあったのではないかと思うけど、あっぱれでした。それでダイエットに励む姿が、また共感を呼んだのかも‥‥。
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