●学校を選ぶ時の参考に
学校の選び方といっても、もう皆さん、期間・予算・目的は決まっているだろうから、それだけでかなり学校は絞られてくると思う。
たとえば、1カ月以内の短期留学であれば、必然的に私立ESLになるし、学位を取るなどの目的があれば、大学かそれに準ずる学校ということになる。
そんな皆さんに、私のわずかな、しかもバンクーバーだけの経験で、選び方のレクチャーをするのはあまりにもおこがましいので、これはあくまでも参考として、いくつもある選び方のポイントの一つということで、お聞きいただきたい(お聞き流しいただいてもかまわない)。
というのは、これからお話ししようとしていることは、あまり英語の学習には関係ないからだ。何に関係があるかというと、う〜ん、強いて言えば、友達づくりかな・・・
私立と州立系のESLに行って、最も違いを感じたのは、ターム制をとっているかいないかだった。
ターム制にしている州立カレッジ・大学系のESLは、1タームの約3カ月間は、ずっと同じクラスである。毎朝、同じクラスメートに“Good morning!”と言い、帰る時はまた同じように“See you tomorrow!”と言って別れていく。私には、これが案外心地よかった。というのは、私は割と友達をじっくり作るタイプらしく、相手を知っていく時間が、このように自然に長く設定されていると、とても楽なのである。
よく、初日に偶然隣に座って話をした相手と、後々までベッタリ一緒という人がいるが、私にはそれができない。たまたますごく気が合う人だったらいいけど、多くの場合、そうでもなさそうだからだ。女の子に割と多いのがこういう付き合い方で、陰でその友達の悪口や批判ばっかり言っているのに、いつも一緒にいるというタイプ。私は「そんなに悪口を言うのだったら、つきあわなきゃいいのに」と思ってしまう方なのである。そういう人に、どうしてその相手と友達になったのか聞くと、たいていは「◯◯に行った時に最初に話した人だったから」という答えが返ってくる。
そういう付き合いができない私は、クラスの入れ替わりが激しい私立のESLよりは、自然にお互いを知っていく時間が持てるターム制のESLのほうが、友達をつくるにはいい環境だった。
事実、州立大学系ESLで同じクラスだった友人4人とは、今だに楽しい交流が続いている。
そのクラスには、イタリア、スイス、イスラエル、メキシコ、韓国など結構いろいろな国の人がいて、日本人は女性のみ7人だった。みんな真面目で、英語の勉強に熱心なだけに、教室外でも決して日本語を話さなかった。どちらかというと、日本人同士、警戒しているフシもあった。なーなーになって、日本語を話し始めてはいけない、というような・・・。
授業が終わったら、広いキャンパスを歩き続けて、次の教室まで行かなくてはならないし、2時間目はみんな違うクラスをとっていたので、ほんとにそのクラスの中だけの付き合いだったが、それでも毎日顔をあわせていると、なんとなく性格も分かってくるものだ。仕事経験がある人、既婚者、大学を卒業したばかりの人と、経歴は様々だったが、みんな割と大人で、落ち着いた雰囲気を持っていた。
彼女たちと親しくなったのは、ターム末に近かった。何がきっかけだったか忘れたが、一人暮しを始めた私のアパートで、鍋料理でもしようか、というようなことだったと思う。当時、みんなホームステイをしていたので、日本食は(まして鍋などは)なかなか食べられなかったのだ。
それまでほとんど英語でしか話したことがない彼女たちと(鍋パーティーの計画さえも英語で話していた)、思い切り日本語で話しながら「みんなの日本語、初めて聞いたね」「なんか変な感じだねー」「英語の時と声が違うよね」などと笑いあった。タームが終わりに近づいているのを、みんな残念に思っていた。
タームが終わって、全員、見事に進路はバラバラになったが、友達付き合いは前よりも深くなった感じで続いていた。一つには、日本でインストラクター経験のある私が、自分の部屋で彼女たちにヨガを教え始めたからである。週1回は必ず顔を合わせ、レッスンが終わると、しばしおしゃべりをして帰っていった。また、もう一人、アパート暮らしを始めた人がいたので、彼女のところにもよく遊びに行った。それは、今思い出しても、実に楽しい日々だった。
もしこのESLが、3カ月のターム制でなかったら、彼女たちと親しくなる前に別々のクラスになっていただろうし、お互いの性格を感じ取れる時間もなかっただろう。
友達をつくるのが得意で、誰とでもすぐ仲良くなれてしまう人は、きっとどんなESLでも大丈夫だと思うが、私のタイプに近い人は、もしかしたらターム制のESLを選んだほうが、自然な形で友達をつくりやすいかもしれない。