●各ESLの特徴(1)‥‥州立大学系ESL
私が3校のESLに行ったことはもうお伝えしたが、たまたまその3校が全く違うタイプの学校だったので、3回連続で、それぞれの特徴をご紹介したいと思う。
ただ、私が通っていたのは1994〜95年だったので、現在ではシステムが変わっている学校もあることを、まずはご了承いただきたい。
最初に行ったのは州立大学系のESLだった。ここはターム制をとっていて、春・夏・秋・冬とそれぞれ期間が決まっている。夏だけは短くて6週間、あとは約3カ月だった。
入学時には筆記テストがあり、私の時には面接はなかった。
レベル分けは非常に大ざっぱ。Beginner、Intermediate、Advanced に大きく分けられていた。
授業はレベルで分けられるのではなく、興味あるテーマで選ぶシステムになっていた。テーマには「Effective Communication」(このクラスだけは7レベルあり、テストの点で振り分けられた)「Pronunciation」「Newspaper」「Social Issue」などがあった。
ただ、興味があるテーマでも、自分に合うレベルで開講されていないと、その授業は選択できないことがあった。
入学して最初のターム(夏)は、1日3クラス取らなければならなかった。午前中2クラス、午後1クラス。朝8:30〜午後3:00は、けっこう疲れた。ホームステイ先に帰って、今日の復習、新単語のチェック、ホームワーク(宿題)などをやっていると、他のことをする時間は何もなかった。
レギュラーの授業は月〜木曜日で、金曜日は選択制で午前中のみ。午後はアクティビティなどが行なわれた。
2ターム目(秋)からは、2クラスだけの受講でも可能なので、私は午前中だけにした。それでやっと体もラクになり、学校のあとに映画を見に行くなどの余裕もできた。
不思議なことに、どんな生徒でも、2ターム目からはみんなレベルが上がった。「Effective Communication」や他のテーマで、1ターム目にBeginnerかIntermediateだった学生は、2ターム目には自動的にAdvancedになってしまった。そんなバカな・・・である。そんなにすぐにレベルアップするもんじゃない。でも、ここはシステムとしてこうなっていたのだ。
この弊害は結構あった。必然的に1クラス内のレベルにバラつきが出てくるので、授業が進めにくい。生徒側も先生側も、やりにくかった。全部即座に理解して、先生とツーカーに話してしまう生徒と、全部を理解しきれず、何となく取り残されていく生徒が、一緒にいるのだ。後半は休みがちになってしまう学生も出てきた。
ただ、州立大学系ESLでいいところは、1ターム中はクラスのメンバーが変わらないので、みんなと割と親しくなれることだ。その点、私立のESLはクラスメートがどんどん入れ替わって行くので、浅いつきあいであることが多い。
それと、何と言っても大学の施設が使えるというのは魅力だった。私はそれで州立大学系のESLを選んだのだ。図書館利用カードも通常の学生と同じ料金で作れるし(一般市民でも作れるが、高い)、プールやジムも安く利用できた。正規留学はとても無理だったが、普通の大学生のような顔をして、あの広〜いキャンパスを歩けるだけでも幸せだった。アカデミックな雰囲気にひたれるのも、刺激になってうれしかった。
大学系のESLは、レベルアップして行けば学部に入学できるという学校が多いが、この州立大学系ESLは、当時は学部からは独立した存在だったので、ここから学部入学できる道は開けていなかった。現在はシステムがすべて変わり、ESLから学部入学もできるようになったと聞いている。