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30歳からの海外留学
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00/10/04
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●料理は身を助く(3)

ホームステイをしていても、料理をしなければならない機会は意外にある。その一つが「ポットラック・パーティー」だ。

この言葉、カナダに来て初めて聞いたのだが、みんなで食べ物や飲み物を持ち寄ってのパーティーのことをいう。だいたい学生のパーティーだと、一人一品、料理をつくる時間がない人はポップ(コーラなどの清涼飲料水)の大ペットボトルとポテトチップスの大袋などを持参する。もうちょっと大がかりなパーティーになると、オーガナイザーが予め出席者に何を持ってくるか聞いて、同じものが重ならないように振り分けたりする。

「移住者の会」のように大人の会員が多い会では、みなさんが持参されるお料理はひときわ豪華になる。その上、炊き込みご飯や中華の炒め物はしっかり保温され、デザートのババロアはちゃーんと冷たく保たれているという気の配りよう。種類と量の豊富さもさることながら、質の高さには驚かされる。

さてESLの学生の場合、タームの終わりにクラスでポットラック・パーティーをすることがある。あるいは夏だったら、ビーチや公園でBBQパーティーになることも…。
こういう時に持っていって、必ず喜ばれたり驚かれたりするのが、巻き寿司だ。巻き寿司ったって、まあ普通の太巻きなんだけど、食べやすいのと、カナダには寿司ファンが多いことで、たいていアッという間になくなってしまう。他の国からの留学生にも好評だった。たかが海苔巻きで絶賛されてしまった。巻き寿司の作り方は、覚えていって損はない。

私の場合、料理好きといっても、日本で海苔巻きをつくったことは、ほとんどなかった。しかし、留学するにあたって練習した。やはり何か一品つくるなら巻き寿司だろうと思ったからだ。
2〜3回つくれば、案外すぐきれいにつくれるようになる。お米と醤油はカナダでも買えることを知っていたので、海苔1缶と巻き簾2つを日本から持っていったのだが、何のこたあない、全部こちらのスーパー(しかも日系でなくカナダの)で入手できた。それだけ人気があるということなのだろう。コミュニティー・センターなどで、よく巻き寿司づくりのワークショップも行なわれているほどだ。

寿司酢は、ビネガーを買って自分で調合することもできるが、初心者にはパウダー状のものが使いやすいと思う。私は日本から持っていったが、こちらでは日本食のスーパーで買える(高いけど)。液体でもパウダー状でも、酢をよーくご飯にまぶしてから、ウチワであおぐといい(と「ためしてガッテン」で言っていた)。

問題は中味である。現地で入手しやすい食品でなければならない。日本ではよく使われるカンピョウなどは、入手もしにくいし、料理するのも手間がかかるのでパス。私がよく使ったのは、キューカンバー、卵焼き、アボガド、カニ風味かまぼこ(イミテーション・クラブと呼ばれている)、ツナ・マヨネーズである。その時そろう食材によって、アボガドが抜けたり、カニかまが抜けたりするが、だいたい4品入れている。

キューカンバーは皮をむき、縦に切って、種の部分をカットする(水分が出やすいので)。卵焼きは甘めにつくったほうがおいしい。アボガドは縦に切ったらレモン汁をまぶしておくと、変色を防ぐことができる。ツナ・マヨはツナ缶の水分をよーくきってから、マヨネーズであえる。使いすぎると後でグチャッとなってしまうので注意。
以上でたいてい美味しくできるはず。
ワサビも忘れずに。日本食のスーパーならチューブ状も粉状も置いている。

海苔巻きを切る時に重宝したのが、パン切り包丁だ。もし持っていたら、あるいはホストファミリー宅にあったら、これを使うと、とてもシャープできれいに切れる。
切る時に気をつけなければならないのは、マヨネーズを使っているので包丁が汚れることだ。面倒でも1回1回、酢水をつけたふきんかペーパータオルで、きれいにぬぐったほうがよい。

カナダほど日本食が入手しやすくないところでも、日本米と海苔と巻き簾さえ手元にあれば、あとは現地調達の食品で、なんとか海苔巻きはできるものだ。いろいろ工夫してみるのも楽しいかもしれない。

そうそう、私は料理の本も持っていった。和食だけの料理本を1冊持っていき、たいそうお世話になったが、結局、中華や洋食もつくるので、あとから買い足した。帰国する友達にもらったものもある(ありがたかったー)。
留学期間が短い人なら、料理の基礎と定番料理が出ているものを1冊持っていけば充分である。