●パートナーの家族との付き合い
第11・12回は夫の里帰りについて書いたので、過去の国際結婚ワークショップから、パートナーの家族と付き合い方について取り上げてみたい。
日本では、配偶者の家族との付き合いというと、おそらく嫁姑関係が最も典型的な問題点となるだろう。
では、カナダではどうだろうか。
私は、スイスの夫の実家では“嫁”をしないし“嫁”的なことも要求されないと書いたが、カナダでも全般的に同じような状況だと思う。親との同居は、まずない。親は親で、たとえ近くに住んでいても、独立した生活を営んでいるのが普通だからである。
私のホストファミリーは、母と娘だけの家庭で、当時11歳の娘はいわゆる「鍵っ子」(今は死語かしら?)だった。洗濯は自分でし、おやつも自分で作って食べていた。ホストマザーの母親は、数年前に夫を亡くし、市内で一人暮らしをしていた。日本だったら、絶対に同居するケースである。ホストマザーとは実の親子だし、孫娘もおばあちゃん大好きでよく遊びに行っていたし、何より本人が高齢である。一緒に暮らせば、孫は寂しくないし、ホストマザーも仕事に打ち込め、おばあちゃん自身も安心だ。
・・・と思うのは、やはり日本的な考え方らしく、ホストマザーもおばあちゃんも、同居はまったく考えていなかった。そういう発想すらなかった…というか、この国ではその習慣がないのである。
だから、同居で生じる嫁姑問題は、ここでは少なかった。
では、どんな問題点があるのだろうか?
ワークショップの記録から拾ってみると・・・
<日本人女性が感じる問題点>
「会話のスピード、タイミングを掴むのが難しく、家族の会話に取り残される」
「自分の親に比べ、彼の両親は放任主義。家も近所なのに、交流がほとんどないのは、家族として寂しい」
「彼の母親は、私にもっとオープンになってほしいと思っている。日本人の私からすると精一杯やっているつもりだが、何でもシェアしたがる義母に、なんだか自分の領域に突進してこられるような感じがしている」
「彼の妹が子供を連れて遊びに来て、自分の家と同じように振る舞う。親しき中にも、やはり礼儀は必要だと思う」
「韓国人の夫の家族と同居しているので、カナダにいても家の中はまるで韓国という感じ。主人の祖母は英語が全くできないので、私が韓国語を勉強するしかない」
<カナダ人男性が感じる問題点>
「日本にいる妻の両親が、孫の誕生を心待ちにしており、子供はいつか?と聞いてくる。だんだんプレッシャーになり、またその話題かと疲れる」
「妻は日本、私はドイツからの移民のため、言葉の問題があり、お互いの両親との関係はぎこちない」
「日本にいる彼女の両親が結婚に反対しているので、どうすればいいか悩んでいる」
いかがだろう? 日本でも聞かれそうな話もあるが、国際結婚ならでは、移民の国カナダならでは、という問題点が多いことに気付かれると思う。
改善するポイントとして、以下のことが挙げられた。
<言葉の壁について>
・カナダ人パートナーが、自分の家族に、ゆっくり話してもらうよう、また忍耐強く聞いてもらうように頼む
・一度に会う家族の数を少なくして(両親のみ、兄弟のみ、など)、日本人パートナーが圧倒されないよう配慮する
・しぐさや視線など、言葉の違いを超えたコミュニケーションも工夫する
<家族に受け入れられるために>
・少々パートナーの母親が理不尽だとしても、やはり自分が努力して、手紙を書いたり電話をかけてコミュニケーションをとるよう心がける
・自分と自分の家族には当り前と思えることでも、パートナーとその家族にとってはどうかを考える
・日本の家族から結婚に反対されている場合は、自分が努力して、将来的にこの人なら大丈夫と認めてもらえるよう頑張るしかない。時間をかけて。
やはりパートナーとの協力態勢、そして自身の努力が、大切なポイントとなっているようだ。