●パートナーの家族とのつきあい方 <国際結婚ワークショップより>
9月12日に第22回国際結婚ワークショップが行なわれた。
アメリカの同時多発テロ事件の翌日だったので、やはりテレビでニュースを見ている人が多かったためか、参加人数は少なかったが、その分深い話し合いができて、中味の濃いワークショップとなった。
この日のテーマは「パートナーの家族とのつきあい方」。
前回書いたように、ご主人の家族との距離感にとまどっている人は、やはり多かった。家に遊びに来るのはいいが、勝手に冷蔵庫をあけられ、勝手に中の物を食べられることに、我々日本人はショックにも近い驚きを感じるものだ。この体験をしている人は少なくなかった。
そもそも「勝手に」と感じることがまず日本人的で、おそらくカナダ人はそのようには思っていないのである。息子や兄の家だから「家族の家」と思っているのだ。だから、別にいちいち断わらずに、あけても構わないという感覚なのだろう。
「家族の家」で自分の家のようにふるまう行為は、彼らにとっては「親しさ」「距離の近さ」の現われであるわけで、こちらがそうしないと「水くさい」「他人行儀」「よそよそしい」と言われてしまう。家族なんだからもっとオープンになってよ、と‥‥。
向こうにそうされても、じゃあ日本人の奥さんがご主人の実家に行って同じようにできるかといったら、それはなかなかできないものなのである。日本は「親しき中にも礼儀あり」のお国柄だから、その習慣を急に変えることはむずかしい。行動よりも、気持ちを切り替えるほうが、簡単には行かないことなのだ。
対応策としては、ご主人だけでなく、家族にも日本人の文化や考え方を分かってもらうということが挙げられる。
日本人のdaughter-in-lawは、彼の家族にとっては“異文化”なのだ。それに初めて接する人もいるかもしれない。私たちがとまどうように、向こうもとまどっているのである。
国際結婚ワークショップに来るようになって、日本人の考え方や感じ方の違いを知るようになり、奥さんのことが理解できるようになったと喜んでくださっているカナダ人男性は多い。ご主人が理解したことを、今度は家族に伝えてもらい、奥さん側だけが合わせるのではなく、みんなで歩み寄っていくことも、「家族」として大切なことなのではないかと思う。