●食べ物について(4)
我が家では、幸いなことに、食べ物で揉めたことがほとんどない。何でもよく食べるカップルなのだ。
私は、「レアな人たち」の香港編(http://www.yyynet.com)でもお分かりのように、仕事柄、何でも食べなければならない。幸い、好き嫌いもアレルギーもないし、食べ物に関しても好奇心いっぱいなので、海外での食の取材は、基本的には大好きなのである。プライベートな旅行の時も、できるだけ土地の物を食べるようにしている。1カ月くらいは、日本食がまったく無くでも生きられる。香港の時は、3食全部フルの食事だったのできつかったが、内容に強弱をつけ、時にはすごく軽めにして、胃を休めるようにしておけば、だいたい生き延びられる。
今まで食べた中でいちばん変な物は、羊の足の先端の煮込み。コロコロした骨にデレーッとなった皮(ゼラチン質?)がくっついていて、味は(甘辛味っぽい)ソースの味しかしなかった。上記の香港取材の時である。
レストランに案内し、オーダーしてくれた香港観光局の女性に、なぜこういう部位を食べるのか、聞いてみた。私は、健康にいいとか、◯◯な症状に効くとか、そういう答えを期待していたのだが、意に反して「おいしいから」だった。は?おいしい?と思ってしまった。だって、本当にソースの味だけで、素材の味が感じられなかったからだ。というか、ほとんどが骨で、皮は骨を覆っているだけだったので、味わいようがなかった。さすがに、羊さんの顔が浮かんで、あまり食べられなかったし…。
パン食もOKで(時々、日本のパンが食べたくなるけど)、チーズも大好きなので、スイスに行っても、まったく問題はない。いつも向こうの家族と同じものを食べている。
彼も同様だ。日本食が大好きで、また好奇心も旺盛なので、食わず嫌いということがほとんどない。何でも必ず食べてみる。納豆でも塩辛でも。それで嫌いになるということが、ほとんどない。納豆はしばらく苦手だったが、どういうわけか、最近は大好きになってしまった。彼いわく「味に慣れたから」。慣れる前に、あのニオイが駄目って人もいると思うけど、チーズの国の人にとっては、あまり気にならないらしい。
寿司ネタで好きなものは、イクラ、サバ、アジ、ウニ。もちろんマグロも大好き。タラコ・スパゲティは、自分でつくっちゃうほど好き。ナマモノ系は大丈夫なのだ。海苔巻きや親子丼も、自分で作れる。麺類も大好きだ。
私たちが日本に帰ると、母がよく言う言葉が「食事の支度に手がかからなくていいわ〜」。彼のために特別に用意するものは何一つなく、全部家族と同じ物でいいからである。しかも喜んで食べている。
同郷の親友のお姉さんのダンナさんはイギリス人なのだが、話を聞くとけっこう大変らしい。彼は、ご飯が苦手で、魚やお惣菜もあまり食べられないので、メニューが限られてしまうそうだ。
母は「ラクだわ〜」と言っているが、母以上にラクしているのは私だろう。毎日、自分の好きなもの、食べたいものを作っていればいいのである。もちろん、全部日本食ではない。パンもパスタも中華もあるが、考えてみたら、日本にいた時の食事もそんなもんだった。お互い、食でストレスを感じなくてすむのは、実にありがたいことだと思う。
海外にいると特に、日本の食文化の豊かさ・奥深さに感動と誇りを覚えるが、最近、とりわけある部門に“深さ”を感じている私である。そのお話は、また来週に・・・