●国際結婚のイメージ(1)
先週は、国際結婚カップルに対して「なによ偉そうに」という反感を抱く人もいるという話をお伝えした。
今日は、その全く逆で、「国際結婚=いいことばっかり」と何故か思われてしまう、そういったイメージについて、書いてみたいと思う。
その前に…
先週の記事の中で「移住者の会の役員をしている」なんて書いてしまったものだから、スゴーイと思っていらっしゃる方もいるかもしれないが…。いやあ、失敗失敗。全然スゴクなんかないのだ。役員と言ったって、会社役員みたいにお金をもらえるわけではない。それどころか、報酬は一切なし。みんなボランティアで、会議のための交通費も自腹。メンバーはそれぞれ仕事を持っているので、そのかたわらで、それこそボランティア精神でやっているのである。
「役員」という名前しかないので、・・・あ、いや、もう一つ呼び名があった。もっとスゴイ。「理事」だって。時々「理事のオカムラさんです」なんて紹介されることがあり、私は身の置き所がないようなムズガユさを感じてしまう。実際やっていることは、ちょっと面積が広い自治会(町内会では小さすぎるので)の世話役のような感じなのである。
さて、話を戻して・・・
「国際結婚=いいことばっかり」というイメージも、実際、確かにあるのだ。
原因の一つは、世に出ている国際結婚の話が、成功例に片寄り過ぎているからではないかと思う。
そもそも私がこのコーナーを始めたのも、そういう現実を危惧してのことだった。だから「こう・ふこう」なんてタイトルを付けたのだ。世に出ない不幸な例で、しかも多発しているケースを、ケーススタディとして紹介していこうと思ったのである。
ところが、そういう例ばかりを紹介していると、家族や友達に国際結婚している人がいるという方々が、今度は心配してしまうのだ。この加減はなかなか難しかった。
現状の“片寄った出され方”を見ていると、私はある物を思い出してしまう。それは、通信教育やダイエット食品の広告だ。
受験生の頃、見ていた雑誌には、よく通信教育の広告が載っていた。「◯◯で勉強したおかげで難関の△△大学に合格しました!」というようなコメントと顔写真と出身高校・合格大学の名前が書いてあるやつだ。そんな体験談ばかり10人分くらい並んでいると、その通信教育を受ければ、どこにでも合格できそうな錯覚におちいってしまう。英語の教材もそう。「◇◇を使ったらTOEICスコアが一気に50点アップ」なんて体験談が並んでいると、つい「トライしてみようかな」と…。あぶないあぶない。
ダイエット商品の広告を見る年齢になると、さすがに学習を積んでいるので「もうだまされないぞー」と思うのだが、それでも時々「ん?」と思わせるキャッチフレーズがあったりして・・・
あの、人を惹き付ける、いかにも“自分もそうなれそう”と思わせる広告の作り方はさすがだなーと思う。
雑誌の国際結婚カップルの記事を読んでいると、どうもこれらの広告を思い出してしまうのだ。もちろん広告として書かれているわけではないが、たとえば、合格者/ダイエット成功者の陰には、多くの不合格者/ダイエット失敗者がいるわけだが、ほんの一握りの前者ばかりが登場してくるために、後者が忘れられがち、あるいは無いものと思われてしまう傾向がある。
国際結婚に関する世間の人々のイメージも、これに似たようなものがある気がしてならない。