●夫の家族とのつきあい方
以前、このコーナーの13号で「パートナーの家族との付き合い」という記事を書いた。これは過去のワークショップの報告を要約したものだが、来週の12日(水)にまた同じテーマでワークショップが行なわれる。前回から2年以上たっているし、この問題で戸惑っている方も多いので、また取り上げてみようということになったのだ。
「国際結婚の会」のミーティングは、私の部屋ですることが多いので、議事が終わった後は、たいてい雑談で2〜3時間盛り上がってしまうのだが、最近はテーマの内容に関連して、夫の家族とのつきあい方に話が及ぶことが多い。けっこう苦労している人もいて、いつも聞き入ってしまう。私なんか、彼の家族はみんなスイスにいるので、そんな苦労は全くなく、申し訳ないような気になってしまうのだ。
夫がカナダ人でも、家族が遠くに住んでいると、問題は少ないのだが、やはり近くに住んでいると大変らしい。前にも書いたが、カナダでは同居問題は少ないものの、家族とのつきあい方は、日本のそれとだいぶ違うようだ。
けっこうよく聞くのは、家族のつきあいもオープンなので、遠慮がないということ。たとえば、夫婦の寝室にもズカズカ入ってしまう。我々日本人は、たとえ家族といっても、よそ様のおうちの冷蔵庫を開けるのだって遠慮してしまうのに(その家の食事情を覗き見してしまうようで)、彼らは冷蔵庫ごときでは何の遠慮もしない。
しかし、ベッドルームに入られるのは、やはりちょっと・・・。
ただ、これは北米の習慣にも関連することで、こちらでは新しい家に引っ越したり改築したりした後、家族やお友達を招待すると、全部の部屋を見せてまわるのだ。
私がステイしていたホストファミリーもそうだった。1カ月ほど前にその家に引っ越したばかりで、私が着いて間もなくホームパーティーが行なわれ、ホストマザーの同僚やボスが招待されていた。その時、彼女がガイドとなってゾロゾロと“新居拝見ツアー”が行なわれ、私にとっては禁断の世界のようだった2階の家族のベッドルームも見せて歩いていた。
実はその日、準備を手伝っていて初めて2階に上がり、母の娘それぞれのベッドルームを見たのだが、相手は気にしていなくても(私に上に行く用事を頼んだのだから、当然気にしていない)、私は見てはいけないものを見てしまったような、申し訳ないような気持ちになっていた。
でも、正直言うと、キッチンやリビングはきれいにしていても、やっぱり寝室は多少乱雑になっていたので、なんだかほっとする思いもあったのだが‥‥(ワーキング・シングルマザーにそんなに完璧に家をきれいにされていたら恐い)。
で、彼女はその部屋をそのままゲストに見せていたので(片付けている時間はなかった)、私は大いに驚いた。
「えーっ! あの部屋を見せちゃったのぉ〜?」という感じだった。
しかし彼女は一向に気にしていない様子。カナダ人と日本人の違う点を1つ見つけた思いだった。
たぶん、息子夫婦の、あるいは兄夫婦、弟夫婦のベッドルームにどんどん入ってしまうというのは、こういうカナダ人の習慣からきているのだと思うが、やはり日本人は、どんなにきれいにしてあっても、夫婦の寝室に入られるのは嫌なものだ。
来週のワークショップでは、体験者のスピーチのほか、参加者同士の小グループでのディスカッションが行なわれるが、どんな話が聞かれるだろう?