●国際結婚のイメージ(2)
「国際結婚? いいわねぇ〜」と思われてしまいがちな理由は、けっこう他愛ないことだ。パートナーが外国人だとか、結婚して外国に住めるとか、子供は可愛いだろうとか、そんな感じである。
しかし、今や誰でも---国際結婚しなくても---海外に住める時代。
それに、ハーフ(最近はダブルと言うが)だからといって、みんながみんな可愛いとは限らないような気がするのだが…。
でも、これも世に出ている芸能人の影響かもしれない。梅宮アンナ、ヒロコ・グレース、宮沢りえ…、みんな綺麗だもんねえ。
国際結婚して外国に住み、なかなか異文化に適応できず、悩んだりホームシックになっている人は多いのだが、それを日本の友達に話しても、分かってもらえないことが多い、という話はよく聞く。
まあ、お互い違う環境に住んでいるので、かつての友達と多少話が合わなくても無理はないのだが、それ以前に、はなっから「いいじゃないの、あなたは国際結婚してるんだから」という感じで対処されてしまうのだという。国際結婚ゆえに悩みが生じているのに、相手が「国際結婚? いいわねぇ〜」というイメージを持っている人だと、何を言っても「だっていいじゃないの、あなたは国際結婚してるんだから」になってしまうのだ。
言われる側としては、分かってもらえないばかりか、それ以上話すことができなくなり、さらに「今後もこういう話はできそうもない」ということを悟らざるを得なくなってしまって、けっこうつらいのである。これで悩みが一つ増え、また落ち込んでしまう人もいるのだ。
国際結婚ワークショップに参加された方々から、よく聞かれる声が「同じ境遇の友達が欲しかった」ということだ。これは日本人サイドからだけではなく、カナダ人のパートナーからも、もれ聞こえてくる参加理由である。
国際結婚をしている者同士のほうが、分かり合えることは確かにある。「今、こういうことで悩んでいて…」「ああ、分かる分かる。実は私も…」のように、ツーカーで通じてしまうからだ。たとえ自分はそのことで悩んでいなくても、大いに察することができる。こういう関係は非常にラクで心地よい。
かといって、昔からの友達をないがしろにするわけにはいかない。やはり大切にしたい。分かり合えない部分ができてしまっても、友達づきあいは続けていきたいのだ。だから、悩んでしまうのだと思う。
私もそういうことはいっぱい体験している。これだけ長いこと(?)生きていると、いろいろな時代の友達がいるからだ。小・中学、高校、大学、会社、仕事…、ぜーんぶ違う。増えるのはこのくらいまでかな?と思っていたら、30代留学でまた新しい友達ができた。さらに、ウェブサイトを通して同じ趣味の友達もできた。つきあい方や話す内容は、みーんな違う。そりゃ当然だろうと思う。
学生時代の友達は、ある年齢から結婚生活の話が多くなってきた。仕事との両立の苦労やご主人の家族とのつきあい方、といった話題だ。独身だった私は、ふんふん聞いているだけ。さらに数年たつと、今度は子育ての話ばかり。相変わらず、私はふんふん聞いているだけ。
全然寂しくないと言ったら嘘になるが、でも話は聞いててけっこう面白かったし、何より旧友たちに会っている時間そのものが楽しかった。
そんな時に「今、私がやっている仕事はね…」なんて切り出しても、浮いてしまうのは目に見えている。そういう話はまた、そういう話ができる友達とすりゃあいいのだ。いくら学生時代を一緒に過ごしていても、もうまったく違う人生を歩んできてしまっているのだから、仕方ないのである。
国際結婚に対するイメージも、人それぞれで違うから、かつて仲のよかった友達が、上記のようなイメージを持っていたとしても、これも仕方ない。分かってもらえないという寂しさはあるかもしれないが、少し割り切って、上手につきあっていく方法もあるのではないかと思う。