●金銭感覚の違い(1) <国際結婚ワークショップより>
26日(火)に第21回国際結婚ワークショップが行なわれた。
今回のテーマは「金銭感覚の違い」。やはり興味深いテーマなのか、参加者は36人で盛況だった。
私たちがよく耳にするのは、一般的に、日本人は何かあった時のために、ある程度の貯金はいつも持っていたいという気持ちが強いが、カナダ人はそうでもなく、どちらかというと、あればあるだけ使ってしまうという傾向が顕著であるということだ。もちろん、そうでない人もいると思うが、「違い」を感じている人に聞いてみると、だいたいそのような答えが返ってくる。
確かに私自身も、銀行口座に一定以上の残高がないと不安になるほうである。“何かあったときのため”とは、不慮の事故によるケガとか、突然の病気などであるが、そのほか、海外に住んでいる者としては、日本の家族に何かあった時にすぐ帰れるだけの(つまり、日本への航空券を買えるだけの)お金は持っていたいと思うのだ。これは、国際結婚の会の役員メンバーもみんな言っていたことである。
私が日本人とは違うお金の使い方を初めて知ったのは、ずいぶん前にハワイに取材に行った時だった。オアフ島、ハワイ島と取材し、最後にカウアイ島に飛んだのだが、島の様子を見て驚いた。荒れ放題なのだ。
カウアイ島は前の年に大型台風の直撃を受け、大きな被害を被った。それからもう1年がたとうとしているのに、まるで昨日台風が通り過ぎたような状態だった。こわれて落ちた看板、ショーウィンドーも内部もめちゃめちゃになったままクローズしているお店など、半分ゴーストタウンのような雰囲気だった。
取材でお会いした日本の方に聞いてみると、台風の被害で保険金がおりても、島の人はそれを修復のために使わないのだそうだ。大金を目の前にすると、「じゃあ台風でいろいろ大変だったから、気晴しに旅行にでも行くかー」となってしまうんだって。で、なかなか復興が進まないのだそうだ。
確かにこの時、完璧に復興していたのは、日系のホテルだけだった。
日本では考えられないことだなぁと思った。やはり日本人は、こういう時に、保険金は建物の修復などのために使い(それが当然なんだけど)、間違ってもそのお金で旅行には行かないだろう。1日も早く復旧し仕事を始められるようにしよう、とはごく普通の日本人の考え方だ。根が真面目で勤勉なので、災害時などの復旧作業は、他の国と比べると早いのではないかと思う。
1年たってこの状況というのは、日本ではまず考えられないことだが、カウアイの人たちの大らかさが、なんとも楽しく、愛すべきことのようにも感じられた。同時に、観光が島のメイン産業の一つなのだから、いつまでもこんな状態では、観光客が離れてしまうと心配にもなった。
・・・そう、日本人はいつも明日やあさってのことを考えてしまうのだ。
私にとっては一種のカルチャーショックだったので、金銭感覚の違いというと、いつもこのカウアイ島のことを思い出してしまう。
これは私の意見だが、日本人はもともと農耕民族なので、いつ天災で米や作物が取れなくなるか分からないから、蓄えがないと不安なのではないかと思う。
対して北米のように狩猟民族の場合は、食べ物が無くなったら狩りに行けばいい。だから、今日ある物は食べてしまっていいわけだ。明日、また取ってくればいいのだから(まあ不猟の時もあるかもしれないけど)。
こういう民族の気質が、お金の使い方にも出てくるのではないかと思った。
さて、ワークショップだが、こちらではもっと家計に即した話も出てきて、なかなか面白かった。一部、小グループに分かれてのディスカッションだったが、私がいたグループでは「お財布は1つか2つか」が、もっぱら話題になった。
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★今日はテリー・フォックスの命日でした。ちょうど20年前の1981年6月28日に亡くなったのです。たった今、CBCニュースとBCTVニュースで、「マラソン・オブ・ホープ」の映像とともに、そのことを報じていました。リック・ハンセンの言葉のように、癌は20年前にテリーの肉体的な生命は奪ったけれど、彼は人々の心の中に永遠に生きているような気がします。
★私がリポートした海外で働く女性たちの最新記事が、「スマートウーマン」というウェブページで読めます。
今回は、バンクーバーで若者に人気のフリー情報誌「Oops!」をつくった2人の女性の物語です。読んでね!
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